トーアは,フリーネット,そしてWinnyとも似ている。どこかを経由し,直接接続することを防ぐ(Winnyの場合,BBSは書き込みが必ず他者を経由する,ファイル転送は他者を経由する可能性があることで効率を維持している)。次のネットワークのカタチが,みえてきているのかもしれない。
quote:米国海軍が開発した通信システムに改良を加えた,ネットの利用に匿名性を確保できるトーアというソフトウェアの開発が進んでいる。トーアを使えば,サイトによる閲覧ユーザーの追跡や訪問者リスト収集を阻止でき,内部告発者の保護などが可能だとしている。トーアには,米国海軍も資金援助を行っている。
もともと,インターネットというネットワークでは,匿名性なんてさっぱり考えられていなかった。隣のパソコンが受信しているメールの内容を取得することも,みているウェブページのアドレスを調べることも簡単だった。匿名性よりも,効率が優先された。だから,余計なフィルタをかけて通信速度を遅くするよりも,直接接続して,自分のアドレスを明かして情報のやり取りをした。それが,普通だった。が,いつからか,それではまずい,生きにくい世の中になってきた。
必要なかった邪魔なフィルタを導入しなければいけなくなったのはなぜなのか,誰がそうするための道筋を作ったのか。いま,高速なADSLやFTTHを利用してる人たちは,トーアが一般的な社会になれば,その回線速度の遅さにややゲンナリするだろう(記事中には「大幅な遅延が起こることはない」と書かれているが,しばらくは遅延を感じないことはあり得ない)。だが,通信の内容をのぞいて自由なファイルのやり取りを妨げられたり,なんたら法に違反してますと無駄な裁判を起こされたり,せっかくの有益な情報の公開を阻害されたりするよりは,それでもいいかなと思うかもしれない。その,移行期に,わたしたちはいる。
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